令和5年(2023年)12月26日現在、追加接種においては、それまでに用いたワクチンの種類に関わらず、12歳以上の方はファイザー社、モデルナ社及び第一三共社のオミクロン株対応1価ワクチン(XBB.1.5)、6~11歳の方はモデルナ社のオミクロン株対応1価ワクチン(XBB.1.5)、生後6か月~11歳の方はファイザー社のオミクロン株対応1価ワクチン(XBB.1.5)を接種することができます(*)。
(*)ファイザー社及びモデルナ社の従来ワクチン(1価)による追加接種は令和5年3月31日、モデルナ社のオミクロン株対応2価ワクチン(従来株/BA.1)による接種は同年6月14日、ファイザー社のオミクロン株対応2価ワクチン(従来株/BA.1又はBA.4-5)及びモデルナ社のオミクロン株対応2価ワクチン(従来株/BA.4-5)による接種は同年9月19日、武田社(ノババックス)のワクチンによる接種は同年12月25日をもって終了しました。
なお、諸外国でも、追加接種でそれまでと異なるワクチンの使用(交互接種)を認めている国は、米国を始め複数あります。
初回接種でファイザー社又はアストラゼネカ社のワクチンを受けた30歳以上の人を対象に、3回目接種でファイザー社、モデルナ社(注)、アストラゼネカ社、又はノババックス社のワクチンを受けた時の抗体価を比較した英国での調査結果によると、日本で薬事承認されている接種間隔と異なることに留意する必要があるものの、いずれのワクチンにおいても、対照群(髄膜炎菌のワクチンを接種)と比較して、接種から28日後の抗体価が有意に上昇するとともに、副反応は全てのワクチンの組み合わせで同様であり許容される旨、報告されています(※)。
(注)モデルナ社のワクチンは、日本において追加接種では50μgを接種することで薬事承認されていますが、この研究では100μgを接種しています。
日本においても、新型コロナワクチンの3回目接種を受けた人を対象に接種後の健康状況に係る調査を実施しており、初回接種と3回目接種で同種接種又は交互接種した時の、接種前後の抗スパイクタンパク質抗体価の推移や、一定期間内にみられた症状等を調査しています。
令和4年(2022年)11月11日の中間報告によると、初回接種でファイザー社のワクチンを接種した人が3回目にファイザー社又はモデルナ社のワクチンを接種した場合、初回接種でモデルナ社のワクチンを接種した人が3回目にファイザー社又はモデルナ社のワクチンを接種した場合、いずれの場合でも接種から1か月後にはスパイクタンパク質に対する抗体価が顕著に上昇し、接種から3か月後と6か月後には抗体価は低下するものの、3回目接種前と比較すると高い値であることが確認されています。
いずれの場合でも安全性については、3回目接種後では接種部位の痛み等が多くの方にみられ、発熱は接種翌日の発現頻度が最も高く、接種3日後にはほぼ消失していました。
<3回目接種前の抗体価との比較>
初回接種 | 3回目接種 | 1か月後 | 3か月後 | 6か月後 |
ファイザー社 | ファイザー社 | 約49.3倍 | 約25.9倍 | 約16.2倍 |
ファイザー社 | モデルナ社 | 約64.2倍 | 約32.6倍 | 約19.2倍 |
モデルナ社 | ファイザー社 | 約15.5倍 | 約7.9倍 | 約7.2倍 |
モデルナ社 | モデルナ社 | 約15.8倍 | 約8.1倍 | 約6.5倍 |
また、令和6年(2024年)1月26日の中間報告によると、4回目以降に武田社(ノババックス)のワクチンを接種した場合、スパイクタンパク質に対する幾何平均抗体価は、全体として接種前は7.817U/mL、接種1か月後で12,558U/mL、接種3か月後で9,460U/mL、接種6か月後で6,867U/mLでした。また、ヌクレオカプシドタンパク質に対する抗体の陰性者と陽性者では違いが認められました。安全性については、発熱(37.5℃以上)が5.9%、接種部位の痛みが65.3%の方にみられました。
新型コロナワクチンの4回目接種を受けた人も対象に接種後の健康状況に係る調査を実施しており、4回目接種で同種接種又は交互接種した時の、接種前後の抗スパイクタンパク質抗体価の推移や、一定期間内にみられた症状等を調査しています。令和5年3月10日の中間報告によると、4回目にファイザー社又はモデルナ社のワクチンを接種した場合、4回目接種前と比較した4回目接種後のスパイクタンパク質(従来株)に対する幾何平均抗体価は、接種1か月後で約4.4倍、3か月後で約2.8倍、6か月後で約2.1倍となり、接種1か月後には顕著に上昇し3か月後と6か月後には低下するものの、4回目接種前と比較すると高い値であることが確認されています。また、4回目にファイザー社又はモデルナ社のワクチンを接種した場合、オミクロン株BA.4-5に対する幾何平均中和抗体価(ウイルスの感染力又は毒素の活性を中和できる抗体の数値)は4回目接種前で8.5倍、4回目接種1か月後で40.8倍、3か月後で24.5倍でした。
安全性については、4回目接種後では接種部位の痛み等が多くの方にみられ、発熱は接種翌日の発現頻度が最も高く、接種3日後にはほぼ消失していました。
なお、それぞれの調査において、調査対象者の数、年齢分布、性別の分布及び追加接種の間隔が異なることから、それぞれの調査結果について、直接の比較は難しいことに留意が必要です。
このように、ファイザー社、モデルナ社、又は武田社(ノババックス)の従来ワクチン(1価)の3回目以降の接種を行った場合については、いずれも顕著な抗体価の上昇が確認されるとともに、安全面についても、上記のとおり知見が得られています。今後も、新たな知見が集積され次第、速やかにお知らせしていきます。
(参考資料)
令和5年秋冬の接種について(第50回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会資料より抜粋)
令和5年秋冬の接種について(第51回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会資料より抜粋)
令和5年秋冬の接種について(第54回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会資料より抜粋)
追加接種における交互接種、組み合わせに関する諸外国の状況(第27回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会資料より抜粋)
新型コロナワクチンの追加(3回目)接種後の健康状況調査(厚生労働省)
新型コロナワクチンの追加(4回目以降)接種後の健康状況調査(厚生労働省)
※:Lancet. 2021;S0140-6736(21)02717-3
(Safety and immunogenicity of seven COVID-19 vaccines as a third dose (booster) following two doses of ChAdOx1 nCov-19 or BNT162b2 in the UK (COV-BOOST): a blinded, multicentre, randomised, controlled, phase 2 trial)
日本語・英語・中国語・韓国語・ポルトガル語・スペイン語 | 9時00分~21時00分 |
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