日本で承認され公的接種の対象となっているファイザー社とモデルナ社のmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンは、臨床試験(第Ⅲ相試験)で、有効性と安全性に関して厳格な評価が行われた上で、薬事承認されています(※1、※2)。その上で、効果の持続性等を確認するために、現在も、臨床試験の一部が継続されています。
米国FDAのガイダンスでは、安全性について、大規模な臨床試験を基にした緊急使用を許可するために、接種後観察期間の中央値が2か月間あることを一つの要件としました。これは、従来のワクチンの副反応はほとんどが2か月以内に認められることが分かっているためです(※3、※4)。これらの情報に加えて、日本国内でも、日本人を対象に臨床試験(第Ⅰ/Ⅱ相試験)を実施し、安全性や免疫原性(抗体の産生や細胞性免疫を誘導する性質)があること等が確認された後、特例承認を受けています(※1、※2)。
このように、既に、有効性と安全性の評価は丁寧に行われましたが、一部の臨床試験の終了予定時期が、将来の日付になっている場合があります。これは、こうした臨床試験に参加した方々に、より長期に有効性や安全性が認められるかどうかについて、引き続き情報収集が行われているためです。臨床試験に参加した方々は、世界で最初に新型コロナワクチンを接種した方々ですので、情報収集を続けることで、免疫の持続期間など、大変重要な科学的知見が得られると考えられます。
なお、ワクチンの臨床試験(治験)が終わっていないため、ワクチンを接種したら民間保険に加入できない、もしくは加入中の保険の契約が無効になる等のSNS上の情報については根拠がなく、そのような事実は確認されていません。接種を受けるのは既に承認されたワクチンであり、接種を受けることで、治験に参加することになるわけではありません。
(参考資料)
※1:PMDAの審査報告書(ファイザー社のワクチン)
※2:PMDAの審査報告書(モデルナ社のワクチン)
※3:Emergency Use Authorization for Vaccines to Prevent COVID-19
※4:CDC.National Childhood Vaccine Injury Act: Vaccine Injury Table
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