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感染症専門医が解説! 分かってきたワクチンの効果と副反応

感染症専門医が解説! 分かってきたワクチンの効果と副反応

国立国際医療研究センター
感染症専門医

忽那 賢志
2021年06月30日

mRNAワクチンとは?

現時点で国内で承認されているのはファイザー/ビオンテック社、そしてモデルナ社が開発したmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンと、アストラゼネカ社が開発したウイルスベクターワクチンの3つですが、現時点では実際に接種が行われているのはmRNAワクチンのみです。

mRNAというタンパク質を生成するために使用する情報を運ぶ設計図が、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のスパイク蛋白、つまりウイルス表面のトゲトゲした突起の部分を作る指示を伝える役割を果たしています。

ワクチンが接種されると、mRNAは注射部位近くの細胞に取り込まれ、細胞内のリボソームという器官がmRNAの情報を読み込み、スパイク蛋白を作ります。

その後、スパイク蛋白はマクロファージの表面に現れると、このスパイク蛋白に対する抗体が作られたりT細胞を介した免疫が誘導されることで、新型コロナウイルスに対する免疫を持つことができます。

生きたウイルスはワクチンの中には入っておらず、また遺伝情報を体内に接種すると言っても、それによって人間の遺伝子の情報に変化が加わることもありません。また、mRNAは接種後数日以内に分解され、作られるスパイク蛋白も接種後2週間でなくなると言われています。こうしたmRNAワクチンの機序からは、接種後1年以上が経ってからの副反応は想定されていません。

また、mRNAワクチンは新しいプラットフォームのワクチンではありますが、インフルエンザウイルスなど他のウイルスのmRNAワクチンは何十年も前から研究されており、長期的な副反応は認められていません。

新型コロナワクチンの効果とは?

感染そのものを防ぐ効果

当初、mRNAワクチンは「発症を防ぐ」のであって感染そのものを防ぐかどうかは分かっていない、と言われていましたが、感染を防ぐ効果も分かってきました。

発症を防ぐことと、感染を防ぐことと、別に本人にとっては同じで何が違うのか、あまり大差ないのではと思われるかもしれませんが、ワクチン接種者が感染しにくくなる、ということは、接種者がその周りの人に感染を広げる可能性が低くなる、ということです。

若くて持病もない人の中には、感染しても重症化しないと思っていたり、接種しても意味がないと思っていた方もいらっしゃるかもしれませんが、自分の家族や周りの人を感染から守ることができるのであれば接種する意義は十分あると言えるのではないでしょうか。

ファイザー製のmRNAワクチン(BNT162b2)を世界でも率先して接種を行い高い接種率を達成しているイスラエルにおける研究では、実際の感染予防効果および発症予防効果が、性別、年齢、基礎疾患の有無でそれぞれ報告されています。
コラム画像1-1.jpg これによると、性別では大きな違いはなく、また年齢別でも高齢者を含めいずれの世代も軒並み90%以上と極めて高い予防効果を示しています。

接種者だけでなく、接種していない人にも恩恵が

実際にワクチン接種が進んでいる地域では、接種した人だけでなく、接種していない人でも感染者が減っているというデータも出てきています。

177の地域・集団を対象にワクチン接種率と感染者との関連を調査した研究によると、ワクチン接種率が高い地域では、接種を受けた人だけでなく、接種していない16歳未満も感染者が減っていることが分かりました。

接種率が20%上がるごとに、ワクチンを受けていない集団の新型コロナの感染が約2倍減少したとのことで、これらの結果は、ワクチン接種が、接種を受けた人を守るだけでなく、その地域の未接種者をも保護することを示しています。

お子さんがワクチンの接種対象年齢から外れており不安に思われている方も多いと思いますが、家族が接種することで間接的にお子さんを守ることにも繋がります。

感染したとしても重症化しにくい、周囲に広げにくい

さらに、ワクチン接種をしても新型コロナの感染をゼロにできるわけではありませんが、先ほどのCDCからの報告によるとワクチン接種後に新型コロナに感染した人は、ワクチン未接種で感染した人と比べて、

・排出するウイルスの量が少なく、排出する期間が短い
・無症候性感染者の割合が高い
・症状のある期間が短い

ということが分かっており、自身も重症化しにくく、周囲にも感染を広げにくいと考えられます。

変異ウイルスに対する効果は?

現在、世界中に広がっている変異ウイルスですが、今日本国内で主流となっているイギリス由来のアルファ変異ウイルス(B.1.1.7)については、ワクチンの効果はほとんど落ちないと考えられています。

ファイザーの接種後6ヶ月の解析結果では、変異株が大多数を占める南アフリカにおいても100%の予防効果を示したとされる一方、カタールからは75%まで低下したとの報告があり、まだ定まった見解がないところですが、少なくとも「ワクチン接種をしても変異ウイルスには効果がない」ということはないでしょう。

ファイザーとモデルナ 2つのワクチンの副反応の違いは?

副反応のメカニズムとは?

コラム画像1-2.jpg ※ファイザー、モデルナのmRNAワクチンの1回目、2回目のそれぞれの頻度(JAMA. 2021;325(21):2201-2202. に掲載されているデータを元に独自にグラフを作成)


副反応とは、ワクチン接種に伴う反応を指します。一般的に薬剤の場合は、投与した化学物質によって期待される作用以外の作用を意味する「副作用」という用語を用いますが、ワクチンについては生体の反応を促すものであることから、「副反応」という用語が用いられます。副反応には局所症状と全身症状とがあり、局所症状としては接種部位の腫れ、痛み、発赤などがあり、全身症状としてだるさ、頭痛、筋肉痛、寒気、発熱などがあります。これらはワクチン接種によって起こる免疫の反応によるものであり、想定される副反応です。

新型コロナワクチンの副反応は、従来のワクチン、例えばインフルエンザワクチンなどと比べると局所反応や全身反応の頻度は高いと言われています。

1回目よりも2回目の方が副反応の頻度が高く、またアメリカCDCからの報告ではファイザー社よりもモデルナ社のmRNAワクチンの方が軽症の副反応の頻度がわずかに高いようですが、そのためにファイザー社のワクチンの方を選ぶほどの差はないと考えて良いでしょう。これらの副反応は接種後2日くらいまでにはほとんどの人で消失します。

これとは別に、数十万人に1人の割合でアナフィラキシーという副反応がみられることがあります。アナフィラキシーは、接種後概ね30分以内にみられる、じんま疹、吐き気、下痢、呼吸困難などを指します。特に薬剤や食べ物のアレルギーのある方、アナフィラキシーを起こしたことがある方はmRNAワクチン接種後にアナフィラキシーを起こす可能性があり、接種後30分は休憩してから帰宅するようにしましょう。

大規模臨床試験では重篤な副反応は認められておらず、接種開始後もさらなる安全性の確認のためにデータ収集が行われ公開されています。

以上、新型コロナワクチンについて分かってきたことをご紹介しました。

今後ワクチン接種が広がることによって、重症者が減ることが期待されます。近い将来の医療機関の負担を減らすためにも、ぜひ前向きにワクチン接種をご検討ください。

※一部内容を更新しました(2021年9月8日)。

(注:本コラムに記載している内容は、筆者の見解となります。また、記載されている名称・呼称などは掲載時点のものです。)

新型コロナワクチン
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