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ノババックス社の新型コロナワクチンとは?

ノババックス社の新型コロナワクチンとは?

国立国際医療研究センター 国際感染症センター
予防接種支援センター長

氏家 無限
2022年09月02日

ノババックス社が開発した新型コロナワクチンは、武田薬品工業株式会社によって国内で申請され、2022年4月19日に薬事承認(※1)され、5月25日から予防接種法上の特例臨時接種に位置付けられました。

ワクチンの種類について

このワクチンは、「不活化ワクチン」の一種であり、B型肝炎ウイルスワクチンなどをはじめ幅広く使用されている技術を基礎として開発された「組換えタンパクワクチン」です(参照: ワクチンの仕組み(※2))。具体的には(※3)、新型コロナウイルスの表面にあるスパイクタンパク質によく似たタンパク質を、ナノ粒子化してワクチンの成分とする技術が用いられています。また、免疫の活性化を促進してワクチンの効果を高めるために、マトリックスM(※4)と呼ばれる物質が添加されています。

このワクチンを開発する技術は、世界中ですでに広く使用され長期の使用実績があり、これまでに承認された新型コロナワクチンである「mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチン」や「ウイルスベクターワクチン」の開発で用いられた新しい技術とは異なります。

ワクチンの有効性について

このワクチンの有効性は、オミクロン株が流行する以前に海外で実施された約3万人を対象とした臨床試験で、2回接種後7日以降の発症予防効果が約90%とmRNAワクチンのデータと比較しても遜色のない発症予防効果(※5)が報告されています。また、このワクチンの2回接種から半年後までの、ウイルス感染を予防したり、ウイルスに感染した細胞を排除したりするための様々な免疫細胞などの値は、他のmRNAワクチンやウイルスベクターワクチンを接種した場合の値とほぼ同等に維持されていました(※6・図1)。オミクロン株に対する有効性の知見は多くありませんが、非臨床試験のデータでは、2回接種によってBA.2を含むオミクロン株に対する中和抗体価が上昇し、3回目接種によりオミクロン株に対する抗スパイクタンパク抗体価が2回接種後のピークの9.3倍に増加することも報告(※7・8)され、これまで承認されている新型コロナワクチンと同様に有効であることが期待されています。

ワクチンの安全性について

接種後の安全性については、他のワクチンと同様に2回目の接種で副反応の報告が増える傾向を示しますが、発熱については最も頻度の高かった非高齢者の2回目接種でも6%程度と報告(※9・10)されています。また、ファイザー社のmRNAワクチンを1回接種から8~12週間後、ファイザー社、モデルナ社、又はノババックス社の新型コロナワクチンを接種した際の副反応報告では、ワクチンの種類を変更しても安全性に関する懸念が生じない、との結果でした(※10・図2)。発生頻度の低い副反応については、米国では、臨床試験や市販後調査に関係するデータの中で、接種後の心筋炎/心膜炎が報告されています(※9)。日本においても、海外での市販後のデータや諸外国の対応状況も踏まえ、添付文書を改訂し、注意喚起を行うこととされました(※11)。なお、2022年8月時点では、副反応を疑う報告状況について、重大な懸念は認められていないとされています。

その他の特徴

有効性と安全性以外に関して、組換えタンパクワクチンである本ワクチンの特徴(※12)としては、冷蔵庫の温度(2~8℃)で保存が可能(※13・14)であるため流通させることが容易であり、製造にかかる費用も低く抑えられる(※12)ことなどから、各国間の所得に相関した接種率の格差(※15)是正に有効であると考えられます。

接種の方法と対象者

初回免疫のための接種方法については、12歳以上の人が対象となり、1回目と2回目の接種間隔を3週間以上あけて接種を行います。追加(3回目)接種は、18歳以上の人が対象となり、2回目の接種から6カ月以上の間隔をあけて行います。1回目と2回目の接種は、同じ種類のワクチンを接種することが原則ですが、社会的な事情や医学的な理由で1回目と同じワクチンの接種が難しい場合には、変更も認められます。3回目接種については、1回目と2回目に接種したワクチンの種類とは無関係に交互接種を受けることができます。また、ワクチンは武田薬品工業から2022年初頭から、概ね1年間で1億5000万回分の供給を受けることとなっているため、十分な数のワクチンが確保されています。

ワクチンに対する期待

ここまでの説明のように、新たに使用が可能となったノババックス社が開発した新型コロナワクチンは、これまで多くの人が接種を受けているmRNAワクチンと同様に新型コロナウイルス感染症に有効性が期待され、安全性に関しては、忍容性があると考えられるワクチンです。首相官邸ホームページ(※16)によると、2022年8月22日時点での追加(3回目)接種を完了した方の割合は、65歳以上では82.7%以上に対して、20歳~40歳代では49.5%~61.5 %と20ポイント以上の差を認めているなど、若い世代での接種率が高齢者よりも低い状況です。これまでに実績のある技術を用いて開発されたワクチンであることからも、新たな技術に基づいて開発されたワクチンの接種を躊躇されてきた方にも、新たな選択肢となり得るかもしれません。

図1. mRNAワクチン(ファイザーとモデルナ)、ウイルスベクターワクチン(ヤンセン<国内承認も流通なし>)、組換えタンパクワクチン(ノババックス)の接種及び自然感染から半年後の免疫タンパク量の比較

※Zhang Z, et.al. Humoral and cellular immune memory to four COVID-19 vaccines. Cell. 2022 JULY 07;185(14):2434-2451.
https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(22)00653-5に掲載されているデータを元に、図表を作成



図2. ファイザー社ワクチンを1回接種後、2回目でファイザー社、モデルナ社、又はノババックス社の新型コロナワクチンを接種した際の副反応報告

※Stuart ASV, et al : Immunogenicity, safety, and reactogenicity of heterologous COVID-19 primary vaccination incorporating mRNA, viral-vector, and protein-adjuvant vaccines in the UK (Com-COV2): a single-blind, randomised, phase 2, non-inferiority trial. Lancet 399 : 36-49, 2022
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(21)02718-5/fulltextに掲載されているデータを元に、図表を作成

(参考資料)
※1:厚生労働省:新型コロナウイルスワクチンの製造販売承認について

※2:厚生労働省:新型コロナワクチンQ&A.組換えタンパクワクチンとはどのようなワクチンですか。

※3:厚生労働省:武田社の新型コロナワクチン(ノババックス)について

※4:武田薬品工業:ワクチン・ヌバキソビッド筋注に関して.Q2. Matrix-M とは何ですか?

※5:Dunkle LM, et.al. Efficacy and Safety of NVX-CoV2373 in Adults in the United States and Mexico. N Engl J Med. 2022 Feb 10;386(6):531-543.

※6:Zhang Z, et.al. Humoral and cellular immune memory to four COVID-19 vaccines. Cell. 2022 JULY 07;185(14):2434-2451.

※7:Novavax:Novavax Initiates Phase 3 Trial of its COVID-19 Omicron Strain Vaccine as a Booster.

※8:Novavax Announces Initial Omicron Cross-Reactivity Data from COVID-19 Vaccine Booster and Adolescent Studies

※9:Food and Drug Administration(アメリカ食品医薬品局:FDA):Vaccines and Related Biological Products Advisory Committee Meeting

※10:Stuart ASV, et al : Immunogenicity, safety, and reactogenicity of heterologous COVID-19 primary vaccination incorporating mRNA, viral-vector, and protein-adjuvant vaccines in the UK (Com-COV2): a single-blind, randomised, phase 2, non-inferiority trial. Lancet 399 : 36-49, 2022

※11:厚生労働省:ヌバキソビッド筋注接種後の心筋炎等について

※12:Dolgin E:How protein-based COVID vaccines could change the pandemic. Nature 599 : 359-360, 2021

※13:厚生労働省:「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き」の改訂について

※14:厚生労働省:新型コロナウイルスワクチンの接種体制確保について

※15:Ramachandran R, et al : Access to COVID-19 Vaccines in High-, Middle-, and Low-Income Countries Hosting Clinical Trials. JAMA Netw Open : 4 : e2134233, 2021

※16:首相官邸:新型コロナワクチンについて

(注:本コラムに記載している内容は、筆者の見解となります)

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